発酵が織りなす働きは、生命のお手本そのもの。
梅茶翁では、基本となる調味料は自家製で仕込み、それらをお料理に生かしています。
田畑や、手仕込み調味料、藍染などに触れる暮らしの中に身を置いていると、この発酵と言った過程で、たくさんの気づきや学びを与えてくれているのがわかります。
発酵の領域には、まるで微生物同士がネットワークを持っているかのように、絶妙なるタイミングで次の微生物があらわれ、いのちのバトンタッチを行っていきます。
そしてそのいのちを使い切った後も、また他の微生物の栄養源となり、役割を全うし潔くその場から消えます。
逞しさと儚さは私たちにどの様に生きるか、いのちとは何かを問いかけてくるかのようです。
有限の様で、無限のいのちの循環を垣間見れます。
一つの菌だけでなく、次に現れる微生物のために余地を残しておく。
多種多様な微生物が互いに支え合い、生かし合う姿は、自然界の法則が「共生」であることを教えてくれます。
便利なこと、手軽なことが良しとされるなか、人類の歴史以前の果てしない昔から微生物は常にゆったりとした時間とともに、調和した世界を作り上げていきます。
私たちの想像が届かない領域のコミュニケーション能力を微生物は持っている様です。
発酵を見つめ直すということは、現代人がどこかにおいてきたいのちの全体性を取り戻していく手立てのひとつなのかもしれません。
常に変わらず変わり続ける、その柔軟で平和な生き方に刺激をいただく毎日です。