日本古来の伝統工芸「本建て正藍染」を暮らしの中に取り入れています。
色移りのしない、昔ながらの藍染技法。
この藍染をするきっかけになったのも、梅林の剪定で出た木を薪にして、冬の暖を取る。
その燃え尽きた灰と、裏山から引いている山水とで染めの下地となる灰汁が作れると知り、また、藍は虫除けにもなると知っていたので、自然豊かなここではとてもありがたいと思い、基礎を習得し、自然のままに染め師の道へ入りました。
昔の人々がこの染めをしてきたには意味が在るのだと、暮らしに藍を取り入れて少しわかるような気持ちになります。
肌に触れるととても心地よく、痒みがある時には染めた生地を肌に当てると途端にぴたりととまりました。
「服用する」とは、植物の薬効を衣に移し、それらを衣服より取り入れる生きる知恵の事だと知りました。
生地も丈夫になり、染めの役割を終えた色を持たない蒅は発酵はそのままにしながらも、畑や大地にいい影響となって働きかけて行く。
文献を調べてみるだけでも、実にたくさんの恩恵がある。
たくさんの手間と手間の「間合い」にしか出来ない未来作りがあるのだと、時と共にそれらに教えていただきました。
原料となるものに、タデ藍がある。
その藍の葉っぱを乾燥させて細かくし、それらに水を回しむしろをかけて幾度も天地返しをしながら発酵をさせたもの(蒅)を原料に、広葉樹の灰(冬に暖をとる際に燃やした薪から出た灰など)水から灰汁作りしたものだけで藍建てをします。
発酵した葉をさらに発酵を通して染めへと乗せていきます。
自然のリズムを尊重しながら藍建てするのはまるで生命の誕生の様な瞬間と感動に出逢えます。
そんな藍甕にそっと手を入れると、中は見えないけれど、時に見えている感覚になるのも不思議です。
それはきっと、共通のイノチとイノチのやりとりと言うシンプルで原初的な感性が開く瞬間なのだと思うのです。
今後、工房ではこの染めの体験ができる様に準備をしていきたいと思っています。